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街頭で有権者に公約を訴える安野貴博氏=2024年7月4日午後6時13分、東京都港区、小川聡仁撮影
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 「政治を、テクノロジーでアップデートする」

 過去最多の56人が出馬した東京都知事選で、そんな旗印を掲げた異色の候補者がいた。AI(人工知能)エンジニア、起業家、そしてSF作家という三つの肩書を持つ安野(あんの)貴博氏(33)。台湾の「天才デジタル担当相」と呼ばれたオードリー・タン氏からの後押しも受けた安野氏の17日間の選挙戦を追った。

 都知事選の投票が締め切られた7日午後8時。報道各社が一斉に小池百合子氏の「当選」確実を報じ、安野氏の初めての選挙戦は終わった。全体の5位にあたる15万4638票を獲得したが、当選は遠かった。

 それでも、支援した同級生ら約40人が集まった会場で、安野氏は胸をはった。「私たちが今回この1カ月やったことっていうのは、本当に選挙の常識を変えるものだったと思っています」。大きな拍手が上がった。

 文京区出身。9歳の時から親が買ってきたパソコンに夢中になり、ゲーム作りやプログラミングを始めた。私立開成中・高を経て入学した東京大学工学部ではAIを研究。「テクノロジーで社会システムをよりよくしたい」と、卒業後はAIを活用し、企業の業務を支援するベンチャー企業2社を創業し、軌道に乗せた。

 ただ、元々社会を変える力のある「政治の世界」に関心は強かった。学生時代から国会議員の質問の特徴を議事録から分析し「政治の仕組みを変えたい」と思い続けてきた。

オードリー・タンも認めたアイデア

 出馬のきっかけは、ほんの3…

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